仮想ユーザ・スクリプトを作成したら,VuGen で実行して検証します。場合によっては,同じアクションの記録が成功していても,再生が失敗することがあります。
多くのアプリケーションでは,ユーザがアプリケーションを使用するたびに変わる動的な値が使用されます。たとえば,あるサーバは,すべての新しいセッションに対して一意のセッション ID を割り当てます。記録されたセッションを再生しようとすると,アプリケーションは,記録されたセッションの ID とは異なる新しいセッション ID を作成します。こうした一意のセッション ID のような動的な値は,特定の種類の仮想ユーザ・スクリプトを再生したときに問題となる場合があります。たとえば,動的なセッション ID は,Web-HTTP/HTML スクリプトを再生したときには問題が起こることが多くありますが,Web-TruClient スクリプトを再生したときには問題が起こりません。
LoadRunner は相関を使用して動的な値の問題に対処します。相関により,変化する値(ここではセッション ID)がパラメータに保存されます。仮想ユーザは,仮想ユーザ・スクリプトの実行時,記録された値を使用しません。代わりに,サーバによって割り当てられた新しいセッション ID を使用します。
この練習では,Web-HTTP/HTML 仮想ユーザ・スクリプトを実行するときに LoadRunner が動的な値に関する問題を解決する方法について観察します。
この練習は,次の項目で構成されています。
再生に関する一般的な失敗を説明するために,HP Web Tours アプリケーションの設定を変更する必要があります。この設定により,HP Web Tours サーバに対して一意のセッション ID の発行と要求を行うように指定します。
HP Web Tours を起動します。
[スタート]>[すべてのプログラム]>[HP Software]>[HP LoadRunner]>[Samples]>[Web]>[HP Web Tours Application]を選択します。Windows 8 などのアイコンベースのデスクトップでは,「HP Web」を検索して[HP Web Tours Application]を結果から選択します。ブラウザが開き,HP Web Tours のホーム・ページが表示されます。
変更後の HP Web Tours の設定では,サーバは,各仮想ユーザに一意のセッション ID を割り当てます。「練習 1: 仮想ユーザ・スクリプトの作成」で記録した変更なしの仮想ユーザ・スクリプトを再生しようとすると,再生は失敗します。
この問題に対処するために,VuGen を使用して,セッション ID の相関の必要性を検出します。元のセッション ID をパラメータに保存するステップを挿入するように,VuGen を指定します。VuGen は,以降の再生セッションごとに,新しい一意のセッション ID をパラメータに保存します。仮想ユーザが仮想ユーザ・スクリプトのステップを実行すると,仮想ユーザは初めに記録された値の代わりに,保存されたセッション ID 値を使用します。
新しいスクリプトを再生します。
[再生]>[実行]をクリックするか,VuGen ツールバーの[再生]ボタン をクリックします。
VuGen が新しい仮想ユーザ・スクリプトを実行します。[出力]ペインの[再生ログ]に,赤で色分けされたエラー・メッセージがいくつか表示されます。
再生の完了後,相関を検索するように求めるメッセージ・ボックスが表示される場合があります。[いいえ]をクリックします。
再生のサマリを表示します。
[再生のサマリ]タブを参照します。このサマリは,スクリプトの再生が失敗したことを示しています。
相関のためにスクリプトをスキャンします。
[デザイン]>[デザイン スタジオ]を選択します。
VuGen はスクリプトとその関連データをスキャンし,動的な値を検索します。デザイン・スタジオの[相関]タブに,相関を必要とする 3 つの動的な値がリスト表示されます。これらの 3 つの値のうち最も長い値はセッション ID です。
[相関]タブでセッション ID エントリを選択し,[相関]をクリックします。VuGen は,セッション ID のステータスを適用済みに変更し,新しい関数を仮想ユーザ・スクリプトの一番上に挿入します。この新しい関数は初めのセッション ID をパラメータに保存します。
VuGen は,以降の再生セッションごとに,新しい一意のセッション ID をパラメータに保存します。仮想ユーザの実行時に,仮想ユーザは初めに記録された値の代わりに保存された ID 値を使用します。
相関ステートメントの構文を調べます。
VuGen エディタで,VuGen がスクリプトに追加したステートメントを探します。この新しいステートメントは次のようになります。
ステートメントにより,VuGen は正規表現(一意のセッション ID)に含まれるこのデータの最初の出現を CorrelationParameter というパラメータに保存します。
[再生]>[実行]をクリックするか,VuGen ツールバーの[再生]ボタン をクリックして,スクリプトを再び再生します。再生が終了したら,[出力]ペインの[再生ログ]を確認します。赤で色分けされたエラー・メッセージが発行されていない点に注意してください。
一意のセッション ID を無視するように,HP Web Tours サーバをリセットします。
これで,再生に関する一般的な問題の学習が終了し,「練習 4: 負荷テスト用仮想ユーザ・スクリプトの準備」に進む準備ができました。
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