システムで負荷を生成するには,最初に実際のユーザの振る舞いをエミュレートするために実行できる仮想ユーザ・スクリプトを作成します。仮想ユーザ・スクリプトの構築および作成には,VuGen を使用します。
この練習は,次の項目で構成されています。
パフォーマンス・テスト環境において,LoadRunner は,実際のユーザを仮想ユーザ(Vuser とも呼ばれます)で置き換えます。仮想ユーザは,再現可能かつ予測可能な方法で一般的なユーザ・アクションをエミュレートして,システムに負荷を生成します。
仮想ユーザ・スクリプトを作成するには,VuGen(LoadRunner の Virtual User Generator)を使用します。VuGen では,記録して再生するという方法が使用されます。アプリケーションでビジネス・プロセスを実行すると,VuGen はアクションを記録し,こうしたアクションを仮想ユーザ・スクリプトのステップに変換します。これらの仮想ユーザ・スクリプトは,負荷テストの基礎となります。
仮想ユーザ・スクリプトを作成するには,最初に VuGen を起動し,空のスクリプトを作成します。その後,イベントを記録し,手動拡張をスクリプトに追加することによって,空のスクリプトを拡張できます。
本項では,VuGen を起動して,Web - HTTP/HTML プロトコルに基づく空の仮想ユーザ・スクリプトを作成します。
[スタート]>[すべてのプログラム]>[HP Software]>[HP LoadRunner]>[VuGen]をクリックするか,デスクトップで[Virtual User Generator]ショートカット・アイコンをダブルクリックします。
メインの HP Virtual User Generator ウィンドウが起動します。
[ファイル]>[新規スクリプトおよびソリューション]をクリックするか,VuGen ツールバーの[新規スクリプトの追加]ボタン をクリックします。[新規スクリプトの作成]ダイアログ・ボックスが開きます。
利用可能なプロトコルのリストから,[Web - HTTP/HTML]を選択して[作成]をクリックします。VuGen が空の仮想ユーザ・スクリプトを作成し,そのスクリプトを VuGen エディタに表示します。
仮想ユーザ・スクリプトの開発における次の手順は,実際のユーザによって実行されるアクションの記録です。前の項では,空の Web - HTTP/HTML 仮想ユーザ・スクリプトを作成しました。これで,アクションを直接スクリプトに記録できるようになりました。本項では,デンバーからロサンゼルスへのフライトを予約し,フライト日程を確認する旅行代理店のアクションを追跡します。
注: HP Web Tours アプリケーションで実行するアクションを VuGen で記録できるようにするには,[記録]>[記録オプション]をクリックします。[記録オプション]ダイアログ・ボックスで,[一般]>[スクリプト]を選択し,[スクリプト編集オプション]で[COM ローカル サーバとして作成されたプロセスを追跡する]チェック・ボックスをクリアされていることを確認します。
仮想ユーザ・スクリプトを記録するには,次の手順を実行します。
HP Web Tours Web サイトで記録を開始します。
[記録]>[記録]をクリックするか,VuGen ツールバーの[記録]ボタン をクリックします。[記録の開始]ダイアログ・ボックスが開きます。
[記録の開始]をクリックします。新しい Web ブラウザが開き,HP Web Tours ホーム・ページが表示されます。
注: HP Web Tours を開く際にエラーが発生した場合は,Web Tours Server が動作しているか確認します。[Start Web Server]ダイアログ・ボックスが表示された場合,サーバは動作しています。サーバを起動するには,[スタート]>[すべてのプログラム]>[HP Software]>[HP LoadRunner]>[Samples]>[Web]>[Start Web Server]を選択します。Windows 8 などのアイコンベースのデスクトップでは,「Start HP」を検索して[Start HP Web Tours Server]を結果から選択します。
VuGen のフローティング記録ツールバーが開きます。
HP Web Tours にログインします。
次の情報を入力します。
- ユーザ名: jojo
- パスワード: bean
フライトの詳細を入力します。
[Flights]をクリックします。[Find Flight]ページが開きます。
[Departure City]で[Denver](標準設定)を選択します。
[Departure Date]: 標準設定のままとします。
[Arrival City]で[Los Angeles]を選択します。
[Return Date]: 標準設定のままとします。
[Seating Preference]で[Aisle]を選択します。
フライトを選択します。
標準のフライト設定をそのまま受け入れて[Continue]をクリックします。[Payment Details]ページが開きます。
支払い情報を入力し,フライトを予約します。
[Credit Card]ボックスで「12345678」と入力します。
左側のペインで[Itinerary]をクリックします。[Itinerary]ページが開きます。
左側のペインで[Sign Off]をクリックします。
ブラウザを閉じてから,VuGen フローティング・ツールバーの[記録停止]ボタン をクリックして,記録プロセスを停止します。
VuGen は必要なコードを生成し,そのコードを仮想ユーザ・スクリプトに挿入します。
デザイン・スタジオが起動した場合,[閉じる]をクリックしてデザイン・スタジオを閉じます。
前の項では,ログイン,フライト予約,日程の確認,ログオフといった旅行代理店によるアクションを記録しました。VuGen には,[記録の開始]ボタンをクリックしてから[記録停止]ボタンをクリックするまでのステップが記録されました。
これで,VuGen を使用してスクリプトを表示できます。VuGen では,仮想ユーザ・スクリプトをさまざまな形式で表示できます。
ソリューション・エクスプローラでは,仮想ユーザ・スクリプトのさまざまな部分だけでなく,仮想ユーザ・スクリプトに関連付けられた多数のファイルへの構造化アクセスが可能です。
ステップ・ナビゲータ では,スクリプトのアイコン・ベースのビューが表示され,仮想ユーザのアクションがステップとして一覧表示されます。記録時に実行したアクションごとに,VuGen は該当するステップをステップ・ナビゲータで生成します。
ステップ・ナビゲータではスナップショット・アイコン が表示され,特定のステップにスナップショットが含まれることを示します。
スクリプトをステップ・ナビゲータで表示するには,[表示]>[ステップ ナビゲータ]を選択するか,VuGen ツールバーの[ステップ ナビゲータ]ボタン をクリックします。ステップ・ナビゲータで任意のステップをダブルクリックすると,該当する関数がエディタで表示されます。
VuGen エディタには,スクリプトのテキスト・ベースのビューが表示されます。エディタには,仮想ユーザのアクションが API 関数として一覧表示されます。エディタでは,VuGen によってスクリプトの関数とその引数値が色分けして表示されます。C 言語,LoadRunner API 関数,または制御フロー・ステートメントを直接スクリプトに入力できます。
これで,基本となる仮想ユーザ・スクリプトの記録および表示の学習が終了し,「練習 2: 仮想ユーザ・スクリプトの再生」に進む準備ができました。
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